本ソフトウェアの目的

Digital Imaging and COmmunications in Medicine(DICOM)は、「医用におけるデジタル画像と通信」に関する標準規格です。 DICOMの規格は非常に多岐にわたり、最近ではX線CT装置やMRI装置などの多くの医療機器で利用されています。このような装置で扱われるDICOMファイルは、撮影された画像の他に、検査情報など非常に多くの情報を含んでいます。しかし、DICOMで標準化されているDICOMタグ(各タグはグループIDと要素IDで一意に識別され、タグ毎にどのようなデータ表現を用いるかが定まっています。例えば、(0008,0020)のタグは検査日を表し、そのデータは書式「yyyymmdd」の文字列であると定められています。)は約2000近くに上り、各機器メーカで独自に拡張しているものも含めると、その全てを把握することはきわめて困難な作業となります。

また、DICOMファイル自体はバイナリファイル形式であるため、テキストエディタ等で情報を取得することはできません。そのため、DICOMファイルを閲覧するためには専用のビューアが必要となり、いくつかの機器メーカからビューアがリリースされています。その中に、フリーソフトウェアもいくつか存在しています。 多くのDICOMビューアは医療の診断用に設計されたものであり、非常に高価であったり、日本語がうまく扱えなかったり、画像を見るだけの用途では使い勝手が悪かったりします。そこで、本プロジェクトでは研究等でDICOMファイル内の情報が取得したいという人や、患者情報にかかわるような情報をDICOMファイルから削除したいという人を対象としたフリーのDICOMビューアの開発を目指しています。

本ソフトウェアの特徴

  1. DICOMファイルやフォルダのドラッグ&ドロップ。
  2. DICOMファイル内に含まれるDICOMタグ情報の閲覧や編集。
  3. 患者情報などのセキュリティの関係上、危険と判断されるDICOMタグの自動マスキングおよび削除。
  4. 編集されたDICOMファイルの保存、複数のDICOMファイルをRaw形式で出力。
  5. ビッグエンディアン形式のDICOMファイル,JPEGやRLE圧縮のかかったDICOMファイルをサポート。

スナップショット

メイン操作画面

メイン操作画面

タグ操作メニュー

タグ操作メニュー

タグ編集画面

タグ編集画面

動作環境

  • Windows XP、Windows Vista、Windows 7(32/64ビット両対応)
  • .NET Framework 4.0

ダウンロード

Version 0.7.2 rev.208 [2012/10/31] ※最新版

Version 0.7.1 rev.207 [2011/07/23]

Version 0.7.0 rev.203 [2009/09/13]

DICOMViewer.zip [1.4MB] (.NET Framework 3.5)

※本ビューアを使用する際は下記の【注意事項およびライセンス】をご確認ください。
※32ビットOSの場合はx86(64ビットOSの場合はx64)フォルダ以下のプログラムをご利用ください。
※詳しい使い方はZIPファイル内の「DICOMViewer.chm」をご覧ください。

注意事項およびライセンス

本ビューアはDICOMタグ情報の閲覧や編集機能,さらに個人情報の削除機能も備えています。 ただし、個人情報の重要度の判断は作成者、およびその支援者が主観によって判断したものであり、個別の施設の事情を考慮したものではありません。 DICOMタグ情報の編集、および重要な個人情報の削除によって生じる一切の問題には、作成者、およびその支援者は責を負わないことに同意を頂いた上でご利用ください。 また、以下の事項に同意した上でご利用ください。

以下の条件に同意する場合に限り、無料で本ソフトを使用、再配布することができます。 ただし、著作権は本ソフトの作者が保持します。

  • 本ソフトを使用したことにより発生した障害、損害について、作者は一切の責任を負わない。
  • 再配布する場合に、ソフト本体と付属の説明書を改変してはならない。
  • ソフトウェアを変更、改変、修正したり、翻訳、逆アセンブル、逆コンパイル等のいかなるリバースエンジニアリングも行ってはならない。

更新履歴

  • Version 0.7.1 rev.207 [2011/07/23]
    • DICOMViewerで扱えるタグの種類をDICOM規格の2009年版に対応させた。
    • ドキュメント内の古い情報を修正。
  • Version 0.7.0 rev.203 [2009/09/13]
    • DICOMViewerの開発環境を ".NET Framework 3.5" へ移行させた。
    • 開発環境の移行に伴い、ユーザーインターフェースを一新した。新バージョンでは "SandDoc" 等の外部ライブラリへの依存関係を無くした。
    • 従来のプラグイン主体の機能拡張からマクロ主体の機能拡張へと変更した。これにより、ユーザーが独自に処理を拡張することが容易になった。
  • Version 0.6.6 [2006/09/11]
    • 選択しているDICOMファイルを、一般的な画像形式で出力する機能を追加。
  • Version 0.6.5 [2006/07/12]
    • DICOMファイルを出力する際に、編集したタグがDICOMの規格に準拠しない場合があった問題を修正。
    • 2006年5月のMI研究会において、徳島大学の鈴木さんが発表した匿名化の基準を採用。
  • Version 0.6.4 [2005/09/22]
    • DICOMファイルを出力する際に、DICOMファイルのプリアンブルのエンコードに誤りがあったため、一部のDICOMビューアでファイルを開けない問題を修正。
    • シリーズの判定に、シリーズUID、シリーズ番号、患者ID、検査IDの4つを用いるように変更。
  • Version 0.6.3 [2005/09/17]
    • DICOMファイルを読み込んでいる途中で、処理をキャンセルする機能を実装。
    • 一部のDICOMファイルにおいて、DICOMViewerで認識できないタグ(独自に拡張されたタグ)の中にSQタグが存在すると正しく読み込めない問題を修正。
    • DICOMViewerでファイルを保存したDICOMファイルが、他のビューアで読み込めない問題を修正。 それに伴い、入力ファイルが Implicit VR 形式のDICOMファイルの場合は出力も Implicit VR 形式とするようにした。
    • 本ソフトウェアの「危険なタグを処理」において Instance UID 等を処理する際に、先頭を 「0」にするとDICOMの規格に反するため、先頭は必ず 「1」 となるようにした。
  • Version 0.6.2 [2005/08/25]
    • 本ソフトウェアの「危険なタグを処理」において、誕生日を1000年1月1日に設定し、検査日は誕生日からの経過日数を1000年1月1日に加えるようにした(閏年にも対応)。
  • Version 0.6.1 [2005/08/16]
    • 本ソフトウェアの「危険なタグを処理」を適用して保存したDICOMファイルが、MacOSXで動作するOsiriXのDICOMビューアで読み込めない問題に対処。
    • RAW形式で保存する際に、保存したファイル名がステータスバーに表示されないバグを修正。
    • GZ圧縮を施したRAWデータの出力に対応。保存する際は、拡張子に「.gz」を付加する。
  • Version 0.6 [2005/07/04]
    • ビッグエンディアン形式のDICOMファイルに対応
    • JPEG画像(ロスレスを除く)の表示に対応
    • DICOMファイルをシリーズ単位で扱う機能の実装
    • DICOMファイルのプレビューをスムーズに表示
    • 選択されている(画像が表示されている)DICOMファイルのパスをウィンドウのタイトルバーに表示
    • DICOMファイルの保存時に、プログレスバーが動作しない問題の修正
    • 「ファイル名を連番に直しますか?」の確認ダイアログへCancelボタンの追加
  • Version 0.5 [2005/05/20] ※最初の公開バージョン
    • DICOMファイル内に含まれるタグを閲覧、編集する機能の実装。
    • 患者名等のDICOMタグの自動マスキング。
    • DICOMファイル内の画像の表示(JPEG圧縮を除く)。

謝辞

本プロジェクトは、以下の方々のご協力により成り立っています。 この場をおかりしてお礼申し上げます。

MIST
2次元、3次元の画像を扱うために、名古屋大学で開発されているMISTを利用させていただきました。 MISTの開発に携わった方々に感謝します。
TortoiseSVNの開発者の方々
TortoiseSVNのドキュメントで利用している、DocBookのスタイルおよびアイコンを本ドキュメント作成の際に利用させていただきました。
開発をサポートしてくれた方々
本プログラムを開発する機会を与えてくださった、東京農工大の清水昭伸先生に深謝します。 また、日頃開発に関する意見や討論を行ってくださる名古屋大学の村瀬研究室、末永研究室、森研究室の方々に感謝します。 特に、機能追加やバグ報告など多くの意見をいただいた林雄一郎先生に感謝します。